小規模企業の信用調査と売掛金回収
小規模企業の売掛金は、売掛金比率の変動が大きく10万円程度の少額であることが特徴的です。
さらに、売掛金回収対象の取引先が多岐に渡り分散するため1回の回収遅延が即座に資金繰りの悪化として表面化することはありません。
しかし、小規模企業で少額売掛金の回収遅延や未収入金の蓄積が表面化したタイミングでは、少額売掛金の回収先が多岐に渡っていることも加わり回収工数が大きく回収に時間を要し致命的となることが特徴的です。
少額売掛金の回収遅延や未回収は小規模企業にとっては、まさにボクシングにおけるボディーブローといえます。
ダメージに気が付いた時点では手遅れとなる場合がほとんどです。
小規模企業者の定義
中小企業基本法の業種分類では、以下の規模と定義されています。
製造業その他 従業員20人以下
商業・サービス業 従業員 5人以下
出典:中小企業庁ウェブサイト
(https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html)
このページでは、小規模企業者が多岐に渡る少額売掛金の回収遅延や未収金の蓄積に対して取りうる予防策と、回収手段を整理しています。
小規模企業における少額売掛金 受取手形回収遅延の対応
取引開始前にやっておきたいこと
与信調査を行う
与信調査とは、取引前や取引期間中で定期的に取引先企業の収益状況や債務履行能力、支払いトラブルの有無の確認を行い経営状況を調べておく信用調査のことです。
小口取引中心の小規模企業においての与信調査は、自社で行うには経費や時間・工数を掛けることが難しく外部信用調査会社を利用しての依頼調査が中心となります。
よく知られたサービスとしては、「東京商工リサーチ」信用調査レポートと「帝国データバンク」企業信用調査報告書での調査があります。
東京商工リサーチの信用調査レポートでは、会社登記情報の他 財務データー(売上高 経常利益 当期純利益 純資産) 取引状況 企業の倒産リスクスコアと直近評価が確認できます。
帝国データバンクの企業信用調査報告書では、会社登記情報の他 財務データー(売上高 経常利益 当期純利益 純資産 取引状況 独自の信用要素から算出した5ランクの信用程度が確認できます。
与信調査費用
帝国データバンク
会員となる必要があり発行される調査問合票1枚で1社の調査依頼ができます。
より詳細な情報は、帝国データバンクホームページをご覧ください。
東京商工リサーチ
必ずしも会員になる必要はありませんが、1件の調査費用は50,000円~です。
会員の場合は下記投稿商工リサーチホームページでご確認ください。
与信審査は取引開始前に必要なことですが、小規模企業者では費用や工数の面ので現実的でなく実施できていない企業が大半です。
少額売掛金や受取手形の支払い遅延が発生した場合
滞納売掛金 未収金の回収手段
公正証書の作成
契約時に契約書と一緒に公証役場で公正証書を作成しておけば安心です。
もし売掛金の支払い遅延が生じた場合裁判なしで、取引先の財産を差押さえ(強制執行)することができます。
少額売掛金であれば、手数料も大きな額にはなりません。
公正証書作成の手数料は、日本公証人連合会ホームページを参照してください
内容証明郵便の発行
少額売掛金や受取手形の支払い遅延が発生した場合、まずできることのひとつに請求内容を記載した内容証明郵便の送付があります。
内容証明郵便とは、自社が作成した書面内容を日本郵便が証明する制度で取引先への送達が保証され書面の内容は郵便局にも保存されます。
安価で手軽にできますが、内容証明郵便自体に強制力はなく効力は、取引相手の受け取り方次第という側面があります。
支払い督促
自社を申立人として裁判所から相手企業に対して支払い督促命令を出してもらうことが出来ます。
売掛金回収における支払い督促は以下の手順で行われます。
支払い督促は、相手の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てます。
書類審査のみのために裁判所に行く必要はありません。
支払督促の申立ての料金は訴訟費用の半額です。(訴訟費用は、訴訟の目的の価額に応じます。)
債務者が支払督促に対し異議を申し立てると,請求額に応じ地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続をすることになります。
参考 各地の裁判所情報(https://www.courts.go.jp/courthouse/map/index.html)
売掛債権担保融資保証制度の利用
中小企業者が売掛先に対して保有している売掛債権を担保として金融機関が融資を行う場合に、信用保証協会が保証を行う制度です。
ファクタリングの利用
ファクタリング会社を利用し売掛債権を現金化する手段もありますが、少額な売掛金に対するサービスは少なく、最低でも30万円をこえるサービスがほとんどです。
少額訴訟
60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り利用できる訴訟制度です。
1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とするので少ない工数負担で訴えをおこせます。
通常は、弁護士または司法書士に依頼することになります。(着手金や成功報酬金が必要となります。訴訟金額により変動しますが、弁護士で10~15万円程度。司法書士で8~10万円程度になります。)
判決に基づき強制執行を申し立て資産の差し押さえに進みます。
被告の申立てで通常訴訟に移行することもあります。
キャッシュフローに注意を払いましょう
小資本 少人数で経営する小規模企業者にとって 少額売掛金の回収遅延や未回収の発生は、資金繰りや稼働工数に大きな負担が発生します。
普段から貸借対照表、損益計算書に加えキャッシュフロー計算書によりキャッシュの動きを把握し、少額であっても滞納売掛金や未収金が発生しないようにしましょう。
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